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名古屋地方裁判所 昭和39年(行ウ)36号 判決 1966年11月22日

原告 山田勝郎

被告 農林大臣

訴訟代理人 川本権祐 外三名

主文

本件訴はいずれもこれを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事  実 <省略>

理由

一、原告の第一次請求に対する被告の本案前の申立について先ず判断する。<省略>

二、次に原告の第二次請求に対する被告の本案前の申立について審按する。

行政事件訴訟法第一三条および第一六条は、相互に関連する行政事件訴訟について、審理の重復、裁判の矛盾牴触を避け同一処分に関する紛争を一挙に解決するとともに、訴の併合を無制限に許すことによつて生ずべき審理の複雑化、および事件処理の遅延を防止するため訴の客観的併合の要件を厳格に規定し、右要件に該当するもののみにつき関連請求として訴の客観的併合を認めているのである。

ところで、原告の主張に徴すれば、原告の第一次請求は、原告が本件土地につき被告に対し買収処分の無効確認と所有権取得登記の抹消登記手続を求めるもので、原、被告間の紛争は結局昭和二三年一〇月二日本件土地に対しなされた原告主張の買収処分に重大且つ明白な瑕疵が存するか否かについてであるところ、原告の第二次請求は、原告の申請につき被告の不作為の違法確認を求めるもので、原被告間の紛争は原告が昭和四〇年三月二三日被告に対しなした農地法第八〇条に基づくいわゆる売払の認定を求める申請につき、原告にかかる申請権が存するか否か、右申請につき被告がなんらの処分をしなかつたか否か、また右原告の申請に応じて被告はなんらかの処分をなすべき法律上の義務が存するか否か、および被告がなんらの処分をしないことは実定法上違法であるか否かに関するものであること明らかである。

しかして、右第一次請求と第二次請求を比照すると、両請求は、紛争の基礎となるべき法律上、事実上の原因を異にしているものと認められるので、行政事件訴訟法第一三条第一項第一号ないし第五号による関連請求に該当しないことは明らかであり、また行政事件訴訟法が関連請求を認めた前示立法趣旨を考慮すれば、同条第一項第六号による関連請求にも該当しないものと解するのが相当である。

してみれば、右第一次請求と第二次請求は行政事件訴訟法所定のいわゆる関連請求に該らないので、右第一次請求に予備的に併合提起された右第二次請求は、併合要件を欠く不適法な訴というべきで却下すべきものである。

三、よつて、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 布谷憲治 藤原寛 植田俊策)

物件目録<省略>

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